石材(墓石材、建築石材など)からの放射能汚染は心配ありません!

石材(墓石材、建築石材など)からの放射能汚染は心配ありません!

「身の回りの自然物質は、大小の差はありますがすべて放射能を出しています。目に見えないため分からず知らないだけで、普通は問題になるレベルではありません。
石材では、たとえばみかげ石(花崗岩・花崗閃緑岩・閃緑岩・斑れい岩)には、たいていジルコンや褐簾石が含まれ(ジルコンや褐簾石には、ごく微量のウランやトリュウムが入っている)、わずかながら放射線が出ます。しかし、環境や人体に影響を及ぼすことは、まったくありません。石材からの放射能汚染は考慮しなくてもいいのです。
もし、石材に外部から埃のような放射性物質が舞い降りてきたら、吹き飛ばすか軽く水洗いすれば問題ありません」

こう話すのは、『月刊石材』で「石材の基礎知識」(誌上「お墓の勉強会」2009年4月号~2010年12月号、合計20回)を連載した理学博士の服部仁先生です。同氏は、通産省工業技術院地質調査所(現・独立行政法人産業技術総合研究所、地質調査総合センター)の岩石地質課長、地質部長、鹿島建設㈱の技術研究所顧問などを歴任した岩石についての専門家です。

放射能01 放射能02

つまり花崗岩は、もともと放射性物質を含んでいるのであり、また、その量は人体に影響を及ぼすレベルではないということです。仮に今回の震災によって石が放射性物質を含む粉体で汚染されたとしても、水洗いをすれば問題ないということです。実際に、福島県にある各丁場では、原石は水洗いをしてから出荷し、また製品で出荷する場合は、切削、研磨の際に水を使い、必然的に洗浄されているので心配はありません。

放射能03 放射能04

「白い花崗岩には、カリ長石が20%以上含まれ、主成分のカリウム元素には、同位体(isotope)カリウム40が極く微量含まれ、放射線を出します。もし、白い花崗岩に放射線測定器(ガイガーカウンターなど)を当てると針が振れますが、もちろん人体に悪影響を与えるような強さではありません。強いエネルギーを持った放射線には宇宙線があり、1000mの強固な岩盤や地球を貫くような素粒子もご存じの事と思いますが、人体には無害です。不思議なことにウラン鉱石の産地に住む人たちは、強力な放射能を浴びているにもかかわらず、健康に暮らしています」
と服部先生。震災2ヵ月後の中日新聞5月14日付け朝刊には「岐阜の放射線量なぜ高い?」という見出しで、その理由としては、「花こう岩が大地に広く分布し、山岳地帯で岩盤が露出しているから」と掲載されました。また、「(岐阜県の数値は)原発事故前と変化はなく、健康に影響があるレベルではないので安心してほしい」と同県担当者のコメントも発表されています。

花崗岩と放射線は切り離せないものであり、たとえ原発事故によって放射能汚染があったとしても、水洗いすれば問題はありません。

(『月刊石材』2011年10月号巻頭特集より抜粋)

なお、服部仁先生による「身のまわりの放射能」と題した資料を、下記からダウンロードできます。合わせてご覧ください。

http://www.ishicoro.com/report/h.hattori.pdf